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にょきゃくいっしゅうかん
女客一週間
豊島 与志雄
「新潮」1931(昭和6)年11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,724 字 · 26 页
」
みんな、びっくりしたようだ。が子供は利口だ。そんなら松だという。家の中にはいって、松だの菊だの柳だのと、線香花火がつづく……。
この花火の一件が――彼女が自分で齎した偶然事が、彼女の精神に何かの影響を与えたにちがいない。子供たちが寝てしまって、アトリエの次の室で、最初の晩と同様に、そしてあれから初めて、島村と二人きりになった時、何となく苛立った感傷を持っていた。彼女の身辺に、まだどことなく、煙硝の匂いが漂っているようだ。
先生のところへ来てよかった、と彼女は云うのだ。働くことの面白さを、いくらかでも味うことが出来た。どんなつまらない仕事でも、楽しんでやれば、価値がある。女中の仕事にも、家庭的に考えれば、しみじみとした味がある。嫌々ながらやれば、どんなことでも駄目になる。楽しんで働くことだ。心から働くことだ。プチ・ブルの生活にも――御免なさいとも何とも云わないで彼女は続けるのだ――プチ・ブルの生活にも、いいところがある。いけないのは、プチ・ブルの根性や意識などで、生活そのものは、人間の生活そのものは、どこでもそう大した変りはない。そして、いろんな形式の生活をしている者が、心から知合になるのは嬉しいことだ。