轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
おんなにんじゅつつかい
女忍術使い
「文学界 第五巻第八号」文藝春秋新社、1951(昭和26)年8月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,611 字 · 6 页
私は連れのE記者に云った。そして宿屋のシッポク料理をくいながら、
「林芙美子さんが長崎で泥棒に四万五千円してやられたというのはこの旅館でしょう。ここのウチの門をくぐったトタンに、林さんの匂いがしたのさ。この拙者の鼻にマチガイはなかろう」
「ハア。マチガイございません。ですが、それ以前と、その後も、二度と盗難はございませんのに。林先生は御運のわるい」
どうして林さんの匂いをかぎだしたのか、どうも私もよく分らんが、あのとき実は一瞬にして、ここだ。彼女が長崎で泊った宿屋は、と甚だ強く感じたのだけは確かであった。
林さんと最後に会ってから、もう半年はたつだろう。彼女が熱海へ仕事に、私が伊東へ帰るために、文春の徳田君中戸川君も一しょに新橋から汽車にのった。彼女は重そうな外套をきて自家製のスシの折ヅメをひらいて差しだし、皆さんよく召し上り、拙者だけは胃から血をはいた直後だったらしく、御一統の食慾を見物してましたね。
しかし、実は、十日前に長崎で彼女に対面してきたばかりなのさ。私にとっては、彼女は実によく動く存在さ。彼女は長崎の風のなかにも確かにいた。これからも諸方の街を吹く風の中で彼女に会うことがあるだろう。