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ようかいがくこうぎ

妖怪学講義

井上 円了

02 緒言

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,679 字 · 35 页

青空文庫

哲学館主  井上円了述

美妙なる天地の高堂に座して、霊妙なる心性の明灯を点ずるものはなんぞや。だれも問わずして、その人間の一生なるを知る。果たしてしからば、その一生中、森然たる万有を照見するものは実に心灯の光なり。しかして、その光を養うものは諸学の油なり。ゆえに、諸学ようやく進みて心灯ようやく照らし、心灯いよいよ明らかにして天地いよいよ美なり。吾人すでに心灯を有す、あに諸学の講究を怠るべけんや。これ余が先年、妖怪学研究に着手したるゆえんなり。方今、大政一新、文運日に興り、明治の治蹟また、まさに大成を告げんとす。皇化のうるおすところ遠く草莽に及び、余のごとき微臣、なお茅屋の下に安臥して閑歳月に伴うを得。ああ、窓間一線の日光もまた、君恩の余滴にあらざるなし。余輩、あに碌々として徒食するに忍びんや。ここにおいて、積年研究せる妖怪学の結果を編述して、世人に報告するに至る。けだしその意、同胞とともに一点の心灯をかかげきたりて、天地の活書を読まんとし、かつ自ら満腔の衷情をくみきたりて、国家の隆運を助けんとするにほかならず。今やわが国、海に輪船あり、陸に鉄路あり。