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ようかいがくこうぎ

妖怪学講義

井上 円了

02 緒言

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,679 字 · 35 页

青空文庫

ここにおいて、百方力を尽くして、吉凶を予定する風雨鍼を発見せんとし、ついに卜筮、人相のごとき諸術の世に行わるるに至る。もしそれ、その風雨鍼のたのむに足らざるを知りて、これに代うるに、禍難に際会するもさらにその害を感ぜざる一種の避雷柱を適用するに至らば、その世を利するや、生死の迷門を開示するとなんぞ異ならん。しかして、これまた妖怪学応用の結果なり。ゆえにその学の講究、あに忽諸に付すべけんや。

妖怪学は哲学の道理を経とし緯として、四方上下に向かいてその応用の通路を開達したるものなり。もし哲学の火気を各自の心灯に点じきたらば、従来の千種万類の妖怪、一時に霧消雲散し去りて、さらに一大妖怪の霊然としてその幽光を発揚するを見る。これ、余がいわゆる真正の妖怪なり。この妖怪ひとたびその光を放たば、心灯の明らかなるも、これとその力を争うあたわずして、たちまちその光を失うに至るべし。あたかも旭日ひとたび昇りて、衆星その光を失うがごとし。仮にこの大怪を名付けて、これを理怪という。余の妖怪研究の目的の、仮怪を払い去りて真怪を開き示すと唱うるゆえん、ここに至りて知るべし。