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つまのざ
妻の座
壺井 栄
「新日本文学」1947(昭和22)年8月、1949(昭和24)年2月~4月、7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 82,695 字 · 165 页
それについて閑子は何にもいわなかった。ただ暗くいんうつに内へこもってゆくようだった。
霜がとけて土が白っぽくかわいた色になってきたと思うと、えんどうの芽はすくすくとのび出した。新しい葉はみずみずと大きく、浅みどりの春の色である。せんさいな茎はそよ風にゆられながらもぴんと空に向ってのびてゆく。閑子の自慢の大きな絹莢えんどうなのだ。その種は閑子が郷里の畑でとったものだった。野村の家とわけて蒔いたそのえんどうに、閑子は竹を立てて棚をつくってやっていた。なにごとか起らなければよいがと気になるミネは、わざと閑子のそんな姿を普通に見ようとした。
「えんどうが、ずい分のびたわ。」
閑子がいう。頸の動きがまるで硬い。
「そうね。楽しみだわ。」
ミネが答える。
「せめて半々にすればよかったと思って。三分の二はむこうへ蒔いたのよ。惜しいわ。」
「いいよ。むこうは大ぜいだもの。」
ミネはすっと肩をはずして自分の部屋にはいった。しばらくしてのぞくと、閑子は黙々として、支えの竹を結えていた。そして、それが終ったころミネの部屋の障子の外から声をかけた。小さなぬれ縁に腰かけ、モンペの膝を軽くはたきながら、