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しぎょうしきにのぞみて

始業式に臨みて

大隈 重信

「早稻田學報 第三百十五號」早稻田大學校友會、1921(大正10)年5月10日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,748 字 · 14 页

青空文庫

〔物にはセンターがなくてはならぬ〕

近来世上の事業が漸次膨張するに従って、国家も社会も金が足らぬ足らぬといっている。ところがよくしたもので、これを救うために借款ということが近来流行する。社会は何万という学生を見殺しにはせぬと思うからして、家を造るために借款を起すことは出来得るであろう。諸君はこの学校を出た後には相当の地位を占められるに相違ない。多数の力は実に大なるものである。この学校を維持するものはこの学校から出たところの多数の卒業生であって、この人々は疑いもなく学校を維持することが出来るのである。そこで諸君を引当てに借款を起されたら宜くはないかと、先刻学長に勧告したのである。これは決して冗談ではない。この学校は天幕をもっておって何か事のあるときには、校庭にこれを張って集会の場処を作るのであるけれども、天幕では十分の役をしない。どうしても講堂を建つることが必要である。しかしてこれが実に学校経営の基礎をなすものである。

〔物にはセンターがなくてはならぬ〕

冒頭に私がかく論ずるのは何のためであるか。家を造るといったのは決して無意味ではない。家がなくても御堂がなくても御経は読めぬことはない。