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しぎょうしきくんじ

始業式訓示

大隈 重信

「早稻田學報 第貮百九拾壹號」早稻田大學校友會、1919(大正8)年5月10日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,974 字 · 11 页

青空文庫

極端なる国家主義は独逸を亡ぼした。極端なる個人主義自由主義の仏蘭西なり英国なり亜米利加なり、その狼狽した有様は如何にも気の毒である。多分英国も仏蘭西もはた亜米利加も多少自覚したろうと思う。すべて物は極端になるといかぬ。中庸の徳というものは大切である。儒教に中庸の徳を説いておるが、プラトン、アリストートル〔アリストテレス〕もまた人間の道徳の中で中庸ということに特に重きを置いた。どうしても物が極端に走るといけない。自由独立、自由博愛あるいは自由平等、これが極端に行くと必ず誤る。このたびの露西亜に起ったところの過激派などは最も極端なものである。社会主義が極端に陥ると、どうなるかというと共産主義となる。共産主義の極端は無政府主義となる。そうなるとその社会は破壊されてその国は滅亡してしまう。今日欧米の文明はある境遇のために極端に走った。

今度これがどういうように調和されるか。およそ人類は社会的のものである。社会共同の生存のためにはあるいは独立も自由もまたは国家主義もある度合までは犠牲としなければならぬ。そういう訳でこれから吾人が努力するについては常に共同という精神を忘れてはならぬ。