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ふじんとぶんがく
婦人と文学
宮本 百合子
※「作品について」参照
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 180,792 字 · 351 页
に、窪川いね子という女性が「キャラメル工場から」という小説を出した。
四十枚ほどの短い小説であったが、「キャラメル工場から」は前年『施療室にて』という短篇集を出した平林たい子の作風とは全く異っていたし、又新感覚派の傾向のつよい中本たか子の作品ともちがった。「キャラメル工場から」には、アナーキスティックで濃厚な反抗がなく、又頭脳的に、都会風に色どられた階級意識がつよく出ているというのでもなかった。
おちぶれた、気まぐれな小市民である父親の思いつきのままに、生活とたたかう場面にぐいぐいと押し出されて行く十三の少女の、素直で忍耐づよい姿と、同時に、どことも云えずそのリアリスティックな作品全体に溢れている清純な人間らしい向上の熱意が、読者を感動させた。当時にありふれた所謂意識でかかれた小説ではなくて、「キャラメル工場から」は勤労生活の中にある人間、女性の思いからあらわれた生活の小説であった。
「キャラメル工場から」にかかれたように、窪川稲子(佐多)は少女時代から働きつづけた。チャンそばやにお目見得に行った小さい娘の手にじゃが薯をむく庖丁がもちきれなかった。