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ふじんとぶんがく
婦人と文学
宮本 百合子
※「作品について」参照
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 180,792 字 · 351 页
窪川鶴次郎を通じて、『驢馬』は彼女に身近いものとなったのであった。十三の小さい女工は、それより前うちで『中央公論』や『太陽』や『新小説』の小説を拾いよみした。小さい娘をつれたまま芸者遊びに行く俥の上で、頼りない、気分やの父は「お前は女文士にしてやろう」と云ったりした。女店員時代から詩を書いて、「文学をやろうという意志で自分の生活を計画しているというような自覚的なものはなかったけれども」彼女は「文学に対しては高い喜びで接していた。」比較的上流の婦人ばかりで作られていた『火の鳥』という雑誌に、「ビラ撒き」という詩を発表し、『女人芸術』に「お目見得」という小説を書いたりしていた窪川稲子は、良人にはげまされて一少女工を主人公とした小説をかき、中野重治がそれに「キャラメル工場から」と題をつけて、『プロレタリア芸術』にのせた。それが、日本のプロレタリア文学運動の初期の作品の系列のなかで、独特なものとなった「キャラメル工場から」であった。
貧しくて逆境におかれ、しかも伸びようとする願いを胸にあふらしている一人の若い女性として、窪川稲子は、自分が女であるということや、貧しいということや、様々の経験を経て来ているという来歴やらを、どう自分に感じていたのであったろうか。