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ふじんとぶんがく

婦人と文学

宮本 百合子

※「作品について」参照

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 180,792 字 · 351 页

青空文庫

せまく、小さく、その経済的基礎も弱くて、発展も変化もない世帯は、芸術の醗酵所とはなりかねた。現代日本文学は、「世帯」からの脱出に、徒労なもがきをつづけて来たとさえ思う。世帯という言葉のふくむあらゆる苦々しいしめっぽいものからの完全な脱出は、世帯そのものの本質が社会的に変えられなければ不可能である。美しくのびやかで、創造的な男女の生活関係を心から願うならば、この社会で一人の男一人の女が、これまで在ったよりも、もっともっと人間の自主性に立つことが出来る社会関係全体としての可能がうまれなければならないのと同じに。

「くれない」のテーマが、まだ将来に多くの課題を暗示して、未解決のまま終っていることは、今日、わたし達が生きている日本の社会の歴史的象徴であるとも思える。思いめぐらせば、この作品のテーマは、自身の完全な展開とその解決を可能にする力を、まだ今日の歴史の中には十分もっていないのだ。今日の地平線には、風雲ただならない雲の動きが感じられる。その波瀾を、この作者はどのようにしのぎ、「くれない」のテーマはどのように展開されてゆくのであろうか。

丹羽文雄その他の数人の作家によって、所謂「系譜小説」