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こどもとうまのはなし

子供と馬の話

小川 未明

「童話」1923(大正12)年11月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 3,727 字 · 8 页

青空文庫

この、ものをいうことのできない、おとなしい、かわいそうな動物を、心ある人間は、憐れんでやらなければなりません。いじめられるからといっていじめてはなりません。

太郎と二郎とは、よく、朝起きるときから、夜寝るまでの間に、幾たびということなく、けんかをしたかしれません。それは、ほんとうにたがいに憎み合ったからではなく、かえって仲のいいためではありましたけれど、つねにいい争うのには、どちらか無理なところがありました。

お父さんは、どういったら、二人がおとなしくなるだろう。どんなお話をして聞かせたら、身にしみて聞くだろうと頭をなやましていられました。

あるときのこと、お父さんは、近所の人たちといっしょに、夜警をしていられました。なんといっても、まだみんなは、おちつくことができずにいました。そして、火事をどんなにおそれていたかしれません、夜警をしなければ、みんながおちついて、夜も眠ることができなかったからであります。

往来を見ていますと、日が暮れてからも、避難をする人の群れがつづいて通りました。五人連れになったもの、三人連れのもの、また、二人、四人というふうに、いずれも、ぞうりをはいたり、また、はだしになったりして、わずかばかりの荷物を負って、男も、女も、ふうなどはかまわずに、たいていはまったく逃げ出したままの着