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こどもとうまのはなし

子供と馬の話

小川 未明

「童話」1923(大正12)年11月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 3,727 字 · 8 页

青空文庫

の身、着のままで、一刻も早く、この怖ろしい都を逃れて故郷の方へ帰ろうとするものばかりでありました。そうした群れが、はや幾日つづいたことでありましょう。

なかには、手を引かれて、もう歩けなくなったのを、お母さんやお父さんに、はげまされて、とぼとぼとゆく小さな子供もありました。

この道を通って、みんなは、汽車の立つ駅の方へとゆくのでした。

「ほんとうに、気の毒な人々ですね。」と、夜警をしている近所の人たちが、その中でも、子供を三人も四人もつれて、みすぼらしいふうをして、さも疲れたようすで歩いてゆく家族のものを見ましたときにいいました。

「休んでおいでなさい。」

「おむすびも、お菓子もありますから、めしあがっておいでなさい。」

夜警をしていた、太郎のお父さんや、近所の人たちは、口々にこういいました。

すると、疲れた家族のものは、こちらを向いて、ちょっと躊躇しましたが、ついに立ち止まって、

「どうぞ、おむすびを一つ子供らにやってください。」と、父親らしい人がいいました。

「さあ、さあ、たくさんありますから、みんなめしあがってください。」と夜警の人々はいって、盆を持ってきて差し出しました。