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こどものじぶんのはなし

子供の時分の話

小川 未明

「おとぎの世界」1919(大正8)年7月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 5,307 字 · 11 页

青空文庫

すると、それは、いつものおじいさんじゃありませんでした。私は、このはじめて見るおじいさんを不思議に思いました。おじいさんは、こっちを向いて、にっこり笑っていました。そして、私がだんだん不思議に思いながら近づくと手招ぎをしました。そのおじいさんの顔は、白くて目が光っていました。私は、このおじいさんが、いつものおじいさんと異って、愛嬌があるのにもかかわらず、なんとなく気味悪く思いました。

「さあ、おいでよ、おいでよ。」と、おじいさんはいいました。私は、自分一人だけで、ほかに友だちがなかったから、あまり屋台には近寄らずに、離れてぼんやりと立っていますと、

「ここまでくると、おもしろいからくりを見せてやる。さあさあ早くおいで、一人のうちはお銭をとらない。さあさあ、早くおいで。」と、おじいさんはいいました。

私は、からくりを見たさに、だんだんと近寄っていきました。

「さあ、その孔からのぞき。第一は姉と弟とが、母親をたずねて旅立つところ。さあさあのぞき。一人のうちはお銭を取らない。」

私は、屋台にかかっている箱の孔をのぞいてみました。すると、旅姿をした姉と、弟の二人が目に映ったのであります。