轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
こどもはかなしみをしらず
子供は悲しみを知らず
小川 未明
「社会 創刊号」1946(昭和21)年9月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,134 字 · 7 页
広い庭には、かきが赤くみのっていました。かきねの破れを直して、主人は、いま縁側へ腰を下ろし、つかれを休めていたのです。彼はこのあたりの地主でした。
裏門から、寺のおしょうさんが、にこにこしながら、入ってくるのを見ると、ちょっと迷惑そうな顔色をしたが、すぐ笑いにまぎらして、丁寧に迎えました。
「あまりごぶさたをしたので、前を通りかかったものだから。」と、おしょうさんは、いいました。
「どうぞ、すこしお上がりください。」
地主は、おしょうさんを、茶の間へ通しました。
「おお、ここのにわとりは、ねこを追いかけるな。」と、土間の方を見て、おしょうさんは、さもおどろいたように、大きな声でいいました。
「このあいだ、卵を産んだので、魚の骨をやりましたら、ねこの分まで、自分のものと思い、しようのないやつです。」
「ほ、ほう、なるほどしつけは、怖ろしいもんだな。教育のしかたで、いい子も、わるくなるから。」と、あとのほうを、おしょうさんは、ひとりごとのようにいって、立ち上がりました。そして、仏壇の前へすわり、静かにかねをたたき、お念仏を唱えたのです。そこには、軍服姿をした若者の写真が飾られ、お供え物が上がっていました。