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うちゅうせんぺい

宇宙尖兵

海野 十三

「新青年」1943(昭和18)年7月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 35,974 字 · 72 页

青空文庫

「火星人というのが、ひところ喧伝されましたなあ」

ベラン氏が、はじめて口を切る。

「わしのいう他の者は、火星人の如き者かもしれない。しかしわれらの研究によると、火星人ではないように思われる節がある。いずれそのことは火星へいって取調べるつもりだが、わしだけの考えでは、もっと遠方から飛来して来た者ではないかと思う。わしは今仮りにこの油断のならぬその者を、X宇宙族という名をもって呼ぶことにしよう」

「X宇宙族。なるほど、こいつは戦慄的な名前だ」

と、さっきから黙りこくっていた魚戸が、顔をあげて呟いた。

「しかしそれは合点がいかぬですなあ。一体わが太陽系では、生物が棲息しているのは、わが地球と、その外に若し可能ありとすると火星しかない。他の遊星には、生物の棲息できる条件がないということを聞いていますぜ。すると火星以外のどの遊星に、そのX宇宙族とやらいう生物が棲息しているのですかなあ」

ベラン氏は、信じられないという顔付であった。

「さあ、X宇宙族が、どこから発足した生物だか、わしは今説明する材料を持って居らない。だが、今いったことは、多分間違いないものとひそかに信じているのだ」