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うちゅうせんぺい

宇宙尖兵

海野 十三

「新青年」1943(昭和18)年7月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 35,974 字 · 72 页

青空文庫

死の星である月世界なんかつまらんものだと考えていた浅薄なる僕の認識は、これによって訂正せられなければならなかった。

「月世界へ着陸するのは、あと何ヶ月かね」

「何ヶ月もかからないだろう。多分あと三週間もすればいいのじゃないか」

「三週間? そんなに早いのかね。じゃあ今後三週間は、われらは退屈でしようがないというわけだろうな」

「断じて否さ。出発以後、今日で十三日目だ。退屈した日が一日でもあったかね」

「君のいうことは正しい。僕は来る日来る日を楽しみにしていよう」

「よろしい。そこで今日は配給の酒が渡る日だそうだから、僕はこれから貰ってこよう」

フランケは笑いながら席を立った。

ニュース

あれ以来、ベラン氏はすっかり元気がなくなり、あまり口数をきかなくなった。倶楽部へ姿をあらわすことはあるが、彼は戸棚から小説本を取出して、隅っこに小さくなって頁を拡げていることが多かった。しかしそれを読み耽っているわけでもないらしく、時には一時間も一時間半も、同じ頁を開いたままのこともあった。

ベラン氏にかわり、ベラン夫人ミミがのさばり出した。彼女は一家の暇のある姉娘のように、誰彼の服装について遠慮のない口をきくかと思えば、針と糸とを持ち出して、綻びを繕ったり、そうかと思うと、工作室から鉋や鋸を借りてきて、手製の額を壁にかけたりし