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うちゅうせんぺい

宇宙尖兵

海野 十三

「新青年」1943(昭和18)年7月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 35,974 字 · 72 页

青空文庫

た。

「ベラン夫人。貴女は名誉家政婦に就任されたようなものですね」

と、僕は、壁に釘をうつ美しい夫人の繊手を見上げながら声をかけた。額の中の絵は、ボナースの水彩画で、スコットランドあたりの放牧風景の絵であった。

「岸さんたら、お口の悪い。あたし、運動不足で困っているのよ」

「なるほど。室内体操場で、バスケットボールでもやったらどうですか」

「満員つづきで、とても番が廻ってきませんわ」

「旦那さまをお相手に、室内で輪投げなど如何です」

「ああ、それはいい思いつきですわね。でもベラン氏は、あのとおり、運動嫌いですものねえ。貴方に相手をしていただこうかしら」

「いやいや、それは真平です」

ベラン氏が、僕の方をじろりと見たが、僕の目と会うと、周章てて目を本の上に落とした。

それがきっかけとなり、ミミは僕をつかまえて、輪投げを挑んでしかたがなかった。結局、すこし狭いけれど、倶楽部の部屋を斜めに使って、輪投げ場をこしらえた。

最初はミミと僕だけがそれを楽しんだが、間もなくフランケやワグナーや、はては魚戸までも参加するようになった。

それが機会となって、魚戸と僕は再び地球の上での交際をとり戻した。