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あんごのしんにほんちり

安吾の新日本地理

坂口 安吾

05 消え失せた沙漠―大島の巻――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,648 字 · 26 页

青空文庫

しかしその一族の子孫が今日の三宅島島民かというと全部がそうでもなく、部落ごとに風習の異なるものがあるそうだし、いくつかの神社とその祭礼の在り方からみると、祭神を異にする異部落民がいつからか合議して村の秩序をつくっていたことは明かのようだ。そしてそれらの祭神は漂流した氏族のものではなくて流人系統のものかも知れん。

大島の土着民には三宅島のような古伝はない。役の行者が流島になったという伝説が一番古いのだろう。もっとも先住民族の遺跡はある。野増村では熔岩の下から人骨と縄紋土器と石ウスとヤジリなどが出たという。波浮中学校の坂口校長先生(偶然私と同姓)の話によると、元村に現存する藤井氏(赤門というね)が中世の移住で、相当の格式をもち、コードのヤブという祖神を祀って神官をつとめ、支配的な位置についていたという。しかし、差木地と泉津にはそれ以前からの先住民がいたらしい。その先住民の移住の経路や時代は分らないが、三宅島が奈良朝以前なら、これもそれと同じようにみてよかろう。こういうことは、どうせハッキリ分りやしませんね。

クダクダしく分りもしない歴史をのべたが、要するに奈良朝以前からの原住民のそれと今の大島の特殊な風習と、どこまで関係があるかどうか、全然わからんというのが、私の考えなのさ。