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あんごのしんにほんちり

安吾の新日本地理

坂口 安吾

07 飛騨・高山の抹殺――中部の巻――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 27,650 字 · 54 页

青空文庫

だから全国の豪族はみんな神々となって天皇家やその祖神の一族親類帰投者功臣となっている。そして各国のあらゆる豪族と伝説と郷土史がみんな巧妙にアンバイされて神話(天智までの天皇紀をも含めて)にとりいれられていると見てよろしい。しかし、神話だから、そのとりいれの方法が正確ではないし、所詮はボーバクたる神話なのだから、似ているがハッキリとそれがオレの国の誰それ様だとも言いかねるものが多いのです。ところが大本教だの何だのと色々の新宗教がみんな天ツ神の本家の化身はオレだと言いたてたがるように、そういう気風や人間の存在は大昔から今までどの土地にも絶えず存在したことで、その気風がやや科学的になると昔の郷土史家、愛郷的考証家というものになって、古代史の似た部分だけをとりいれてみんな自国の伝説と結びつけてしまう。だから、九州から奥州の果まで至るところにタカマガ原だの天の岩戸だの天孫降臨の地があるばかりか、特にその土地の名が古代史にも現れて土地の国ツ神と天ツ神の交渉が若干国撰の神話に残っていると、それに尾ヒレをつけて伝説をつくり、郷土の地名などにムリムタイにコジつけてあの神話もこの神話もとりいれる。