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あんごこうだん

安吾巷談

坂口 安吾

11 教祖展覧会

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,182 字 · 15 页

青空文庫

しかしこれは文章に構成され、最後に視覚に訴えるまでの文章の綾があって、はじめて戯画が生きてくるのだ。これは視覚に訴えるにしても、文章の力であり文章の世界なのである。

試みに、「魚眼レンズ」に最後の結論だけをのせて、「立派な部屋にはいつも胃ブクロがいる」と云ったところで、なんの力もない。諷刺にもならなければ、謎々の問題にもなりやしない。この謎々をとけ、それが文化というものだ、知識というものだ、とでも考える仁があるとすれば、滑稽怪奇ではないか。

ところが、二科の教祖ならびに弟子は、概ね、これをやらかしているのである。

絵は言葉によって語るものではなくて、色によって語るものだ。しかし二科の謎絵はそうではない。彼らの観念は、絵に至るまでには言葉によって導入されており、そして導入された最後だけを言葉から切り離して、色の世界に置きかえようと試みているにすぎないのである。

私の隣に見ていた二人の学生は、東郷青児の絵を、横目でチョイと見ただけで、

「こいつ、甘ったるいなア」

と云って、近所の謎絵の方に腕を組んで見入っていたが、いくら甘いったって、東郷青児の絵は、その観念の構成が、始めから純粋に色である。