轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

あんごこうだん

安吾巷談

坂口 安吾

12 巷談師退場

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,860 字 · 16 页

青空文庫

ずいぶん日本の酒が減ったろうな。一万何千名の御歴々をとりまいて、十万人ぐらいの御歴々が毎日毎晩旋風と化していたのだから。この大嵐の中では、僕などは微々たるソヨ風、第一、半年間二十四時の怨霊に痛められた肉体というものは、旋風と化するほどの酒をうけつけてくれません。胃袋は火星人なみに弱化していたのである。一週間ほどコンコンとねむりました。ネムリ薬ものまず、さしたる酒ものまず、ただコンコンとねむり、時に街を歩く。街がまったく生れ変っていた。映画館が私をまねく。思えば、そういう物と絶縁されていた半年であった。

新聞小説チチとして進まず、とても京大阪へでかけられないと分ったのは先月のことで、幸い静岡市に浅草の観音様、一寸八分の御本尊の開帳があるという。人に見せたことがないという秘仏を、所もあろうに、浅草ならぬ静岡で開帳するというのが珍であるから、そこは巷談師の心眼、これ見のがしてなるべからず、これを巷談の上りに借用しようという予定をたてた。この開帳が十月十四日から十七日までだ。新聞小説の筆をおいたのが、十月十七日午前九時半。私は筆を投じると、

「アンマ!」

こう叫んだだけである。