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あんごこうだん

安吾巷談

坂口 安吾

12 巷談師退場

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,860 字 · 16 页

青空文庫

全身が強直した丸太であった。けだし二十四時の怨霊がガッシと肩にしがみついていたせいなのである。

しかし、この苦しい半年の間にも、巷談師としての数日は、毎月たのしかった。どうも、巷談というものは、私に最も身についた遊びのようである。しかし、巷談は、もともと随筆だ。事あるに応じて筆をとるべきもので、これを毎月必ず、ということになると、やはりムリをするようになる。

私は巷談でぜひとりあげてみたいと思っていたことが二三あった。

一つは邪教の問題。邪教といっても、教祖と狂信者とのツナガリには、ある種の実効(たとえば病気が治るというような)がたしかに在るには相違ないその実際と限界を突きとめてみたいということであった。

ある席で、お光り様が一間も二間も離れたところから手をかざして病人を治すという、そういうことが、ある種の人々に対しては真に可能であるか、という話がでたとき、同席していた呉清源九段が、私もある期間その力が具わって人の病気を治し得たことがあった、と語った。

彼の話は真実であるに相違ない。しかし、治す人と治される人には相対的なツナガリが必要で、万人向きのものではないにきまっているし、呉氏が人の病気を治し得たのも「ある期間」