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ほうえいふんか
宝永噴火
岡本 かの子
「文学界」1940(昭和15)年7月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 31,505 字 · 62 页
夫人は白昼の牡丹のように晴々し過ぎて、何か花の影をつける必要から幽隠な気を求めているように見えた。
S夫人と、夫人の記した聖者伝に就き、こんなことを考えているうち、ふと気がつくと、富士と人間との間のその魅惑は、今度は私に取り憑いている。しまった、読むべからざるものを読んだ。けれども、もう仕方がない。不用意の隙を覗って転々、人に取り憑き、取り憑いたら一度は人を恋のようにかせてみる。これがこの種の魅惑の性質らしい。私はS夫人とも白隠とも別な溜息のつき方で、以下自然、富士への情熱を綴らざるを得なくなった。