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いえ

家

島崎 藤村

01 (上)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 126,748 字 · 254 页

青空文庫

第一、貴方は何事も私に話して聞かせて下さらないんですもの」

「こうして話してるじゃないか」と三吉は苦笑した。

「話してるなんて……」と言って、お雪は子供の顔を眺めて、「ああ、もっと悧好な女に生れて来れば好かった。私も……私も……この次に生れ変って来たら……」

「生れ変って来たら、どうする」

お雪は答えなかった。

「あんまり貴方も考え過ぎるんでしょう」

とお雪は冷かに微笑んで、「ちと曾根さんの方へでも遊びに行ってらしたらどうです」

「余計な御世話だ」と三吉は力を入れて言った。「お前は直に、曾根さん、曾根さんだ。それがどうした。お前のような狭い量見で社会の人と交際が出来るものか」こう彼は言おうとしたが、それを口には出さなかった。

「だって、こうして引籠んでばかりいらっしゃらないで、御出掛に成ったら可いでしょうに……」

「行こうと、行くまいと、俺の勝手じゃないか」

土塀の外の方では、近所の子供が集って李を落す音がした。

「房ちゃん」とお雪は子供を抱〆るようにして、「父さんに嫌われたから、彼方へ行きましょう」

力なげにお雪は夫の傍を離れた。三吉は、「妙なことを言うナア」