轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

いえ

家

島崎 藤村

01 (上)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 126,748 字 · 254 页

青空文庫

階下に住む夫婦者は小売の店を出して、苦しい、忙しい生活を営みつつある。しかし心易い人達ではあった。

「何にしても、これはエライところだ」とお種はすこし落付いた後で言った。「でも、豊世――伊東で寂しい思をしながら御馳走を食べるよりかも、ここでお前と一緒にパンでも咬る方が、どんなにか私は安気なよ」

伊豆の方で豊世が見た時よりも、余程姑の容子に焦々したところが少なく成ったように思われた。で、豊世もすこし安心して、自分の生家――寺島の母親が丁度上京中であることを言出した。この母は療治に出て来て、病院の方に居るが、最早間もなく退院するであろうと話し聞かせた。

「あれ、そうかや」とお種は切ないという眼付をした。「私は寺島の母親さんには御目に掛れない」

「関わないようなものですけれど……」と豊世は言ってみた。

「お前は関わないと思っても、私が困る……第一、お前をこんな処に置いて、寺島の母親さんに御目に掛れた義理じゃない……」

その時、お種は自分の留守へ電報を打って寄したという人を想ってみた。無理にも豊世を引戻そうとした人を想ってみた。唯お種は面目ないばかりでは無かった。