轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
いえ
家
島崎 藤村
01 (上)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 126,748 字 · 254 页
「宗助――幸助――宗助――幸助」
と小僧が手拭を首に巻付けて出て行くのを見ると、三吉も姉の傍に静止していられないような気がした。
夜に入って、谷底の町は歓楽の世界と化した。花やかに光る提灯の影には、祭を見ようとする男女の群が集って、狭い通を潮のように往来した。押しつ押されつする御輿の地を打つ響、争い叫ぶ若者の声なぞは、人々の胸を波打つようにさせる。王滝川の岸に添うて二里も三里もある道を歌いながら通って来る幾組かの娘達は、いずれも連に離れまいとし、人に踏まれまいとして、この群集の中を互に手を引合って歩いた。中には雑踏に紛れて知らない男を罵るものも有った。慾に目の無い町の商人は、簪を押付け、飲食する物を売り、多くの労働の報酬を一晩に擲たせる算段をした。町の中央にある広い暗い場処では踊も始まった。
祭の光景を見て廻った後、一しきりは三吉も御輿に取付いて、跣足に尻端折で、人と同じように「宗助――幸助」と叫びながら押してみたが、やがて額に流れる汗を拭きつつ橋本の家の方へ帰って来た。足を洗って、三吉は涼しい風の来る表座敷へ行った。そこで畳の上に毛脛を投出した。