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からすうりのはなとが

寺田寅彦随筆集 第三巻

寺田 寅彦

寺田寅彦『寺田寅彦随筆集 第三巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:からすうりの花と蛾、火山の名について、日常身辺の物理的諸問題、量的と質的と統計的と、物理学圏外の物理的現象、ロプ・ノールその他、青衣童女像、カメラをさげて、連句雑俎、ラジオ・モンタージュ、青磁のモンタージュ、読書の今昔、映画の世界像、「手首」の問題、映画雑感(Ⅰ)、生ける人形、映画芸術、音楽的映画としての「ラヴ・ミ・トゥナイト」、俳諧の本質的概論、夏目漱石先生の追憶、田丸先生の追憶。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 213,804 字 · 425 页

青空文庫

たしか「少年文学」と称する叢書があって「黄金丸」「今弁慶」「宝の山」「宝の庫」などというのが魅惑的な装幀に飾られて続々出版された。富岡永洗、武内桂舟などの木版色刷りの口絵だけでも当時の少年の夢の王国がいかなるものであったかを示すに充分なものであろう。

これらの読み物を手に入れることは当時のわれわれにはそれほど容易ではなかった。二十銭三十銭を父母にもらい受ける手数のほかに書店にたのんで取り寄せてもらう手続きがあった。しかし何度も本屋へ通ってまだかまだかと催促してやっと手に入れたときの喜びはおそらくそのころのわれわれ仲間の特権であったかもしれない。

当時の田舎の本屋はいばったものであったような気がする。われわれは頭を下げて売ってもらっていたような感じがある。これは当然であったかもしれない。少なくもわれわれにとって書物は決して「商品」ではなかった。それは尊い師匠であり、なつかしい恋人であって、本屋はそれをわれわれに紹介してくれるだいじな仲介者であったわけである。

読書の選択やまた読書のしかたについて学生たちから質問を受けたことがたびたびある。これに対する自分の答えはいつも不得要領に終わるほかはなかった。