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からすうりのはなとが
寺田寅彦随筆集 第三巻
寺田 寅彦
寺田寅彦『寺田寅彦随筆集 第三巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:からすうりの花と蛾、火山の名について、日常身辺の物理的諸問題、量的と質的と統計的と、物理学圏外の物理的現象、ロプ・ノールその他、青衣童女像、カメラをさげて、連句雑俎、ラジオ・モンタージュ、青磁のモンタージュ、読書の今昔、映画の世界像、「手首」の問題、映画雑感(Ⅰ)、生ける人形、映画芸術、音楽的映画としての「ラヴ・ミ・トゥナイト」、俳諧の本質的概論、夏目漱石先生の追憶、田丸先生の追憶。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 213,804 字 · 425 页
色彩はその使用が適切でなければ視覚的映像の効果を補充するよりもむしろ減殺するのは何ゆえかというと、色彩のために明暗の調子が弱められて画面の深さが浅くなり従って平板に見えやすくなる。これは西洋画をけいこした人のいずれもが経験したことであろう。
しからば有色映画は全然見込みのないものであるかというと、そうは断言できない。もしも将来天才的監督によって適当なる色彩的モンタージュの方法が案出され、明暗を殺さずにそれを生かすような色彩を駆使して、これを音響と対位的に編成することができればその結果はあるいは大いに見るべきものであるかもしれない。
色彩のモンタージュはいかにすべきかについてはやはり東洋画ことに宗達光琳の絵や浮世絵は参考になるであろう。俳諧連句もまたかなりの参考資料を提供するであろう。たとえば七部集炭俵の中にある「雪の松おれ口みればなお寒し」「日の出るまえの赤き冬空」「下肴を一舟浜に打ち明けて」の三連などは色彩的にもかなりおもしろいものである。ともかくも一つ一つの画面にその基調となるべき色彩的な中心映像を確定しそれを生かすためにその周囲の色彩を殺してしまうという、色彩的カッティングを行ない、そうして、その中心的な色彩をモンタージュ的な連結推移のリズムによって進行させて行かなければなるまいと思われる。