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からすうりのはなとが

寺田寅彦随筆集 第三巻

寺田 寅彦

寺田寅彦『寺田寅彦随筆集 第三巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:からすうりの花と蛾、火山の名について、日常身辺の物理的諸問題、量的と質的と統計的と、物理学圏外の物理的現象、ロプ・ノールその他、青衣童女像、カメラをさげて、連句雑俎、ラジオ・モンタージュ、青磁のモンタージュ、読書の今昔、映画の世界像、「手首」の問題、映画雑感(Ⅰ)、生ける人形、映画芸術、音楽的映画としての「ラヴ・ミ・トゥナイト」、俳諧の本質的概論、夏目漱石先生の追憶、田丸先生の追憶。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 213,804 字 · 425 页

青空文庫

自分がだらしがなくて、人には正確を要求する十人並みの人間のすることとは全く反対であったのである。

先生が、もう少しだらしのない凡人であってくれたら、そうしたらおそらくもう少し長生きをされて、そうしてもう少し長く後進のためにもめんどうを見てくださることができ、また先生としてももう少しのどかな生涯を送られたではないかという気がすることもある。しかしそれは結局だらしのない人間の言うことで、先生は先生としての最も意義ある最も充実した生涯を完成されたのであろう。

こうして書き出してみると、先生の思い出はあとからあとから数限りもなく出て来るのであるが、この機会にはやはりこれくらいにして筆をおいたほうが適当であろうと思う。

記憶違いのために事実相違の点もいろいろあるかもしれない。それについては読者の寛容を願いたいと思う。

先生がかりに再生されて、この追憶を読まれたら、と想像してみる。先生はやっぱりにこにこして、何か一言ぐらい鋭いリマークをされて、そうして、それきりでゆるしてくださるであろうという気がするのである。

(昭和七年十二月、理学部会誌)