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あひるとさる
寺田寅彦随筆集 第五巻
寺田 寅彦
寺田寅彦『寺田寅彦随筆集 第五巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:あひると猿、疑問と空想、映画と生理、映画雑感(Ⅲ)、映画雑感(Ⅳ)、災難雑考、三斜晶系、糸車、詩と官能、自由画稿、小浅間、小爆発二件、地図をながめて、天災と国防、日本人の自然観、破片、俳句の型式とその進化、俳句の精神、物売りの声、B教授の死。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 194,515 字 · 389 页
終末の幕切れに教授の死を弔う学生の「アーメン」にいたっては、蛇足にサボをはかせたようなものではないかと思われた。
大学教授連盟とかいう自分にはあまり耳慣れない名前の団体から、このような芝居は教育界の神聖を汚すものだと言って厳重な抗議があったので、それに義理を立てるためにこのアーメンを付加したのだといううわさがある。これも後世の参考と興味のために記録に値する出来事であろう。
ウンラートが気が狂ったのを見て八重子のポーラが妙な述懐のようなことを述べるせりふがあるが、あれはいかにも、ああした売女の役をふられた八重子自身が贔屓の観客へ対しての弁明のように響いて、あの芝居にそぐわないような気がした。ポーラはやはり浮き草のようなポーラであるところにこの劇の女主人公としての意義があり、そこに悲劇があり、ほんとうの哀れがあるのではないか。八重子はここで黙って百パーセントの売女としてのポーラになりきることによってこの悲劇を完成すべきではないかという気がしたのであった。
不平ばかり言ったようで作者にはすまないが、どうもこんなふうに感じたことは事実でいたし方がない。