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あひるとさる
寺田寅彦随筆集 第五巻
寺田 寅彦
寺田寅彦『寺田寅彦随筆集 第五巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:あひると猿、疑問と空想、映画と生理、映画雑感(Ⅲ)、映画雑感(Ⅳ)、災難雑考、三斜晶系、糸車、詩と官能、自由画稿、小浅間、小爆発二件、地図をながめて、天災と国防、日本人の自然観、破片、俳句の型式とその進化、俳句の精神、物売りの声、B教授の死。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 194,515 字 · 389 页
夏休みに信州の高原に来て試みに植物図鑑などと引き合わせながら素人流に草花の世界をのぞいて見ても、形態がほとんど同じであって、しかも少しずつ違った特徴をもった植物の大家族といったようなものが数々あり、しかも一つの家族から他の家族への連鎖となり橋梁となるかと思われるようなものにも乏しくない。つつじの種類だけでもその分化の多様なことは日本が随一で中でも信州が著しいという話である。
話は植物の話である。しかしこのような植物の多様な分化を生ぜしめたその同じ気候風土の環境の多様性が日本人という人間の生理を通してその心理の上にまでも何かしら類似の多様性を分化させるような効果をもたないで済むものであろうか。これは少なくも慎重な吟味を加えた後でなければ軽率に否定し去ることのできない問題であろう。のみならず、その環境によって生まれた自然の多様性がさらにまた二次的影響として上記の一次的効果に参加することも忘れてはならないのである。
植物界は動物界を支配する。不毛の地に最初の草の種が芽を出すと、それが昆虫を呼び、昆虫が鳥を呼び、その鳥の糞粒が新しい植物の種子を輸入する、そこにいろいろの獣類が移住を始めて次第に一つの「社会」