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たいわ
対話
宮本 百合子
「週刊朝日」1924(大正13)年1月1日号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,561 字 · 18 页
イオイナ まあ美しいこと。曇もない。かえしておやり、返しておやり。これは勤勉の根に注ぐ比類のない滋液です。
使者 それから、申すも楽しいのは、今朝一人の幼児が、母の懐に抱かれながら太陽を仰見て、からからと笑いました。傍にいた男女や年寄も、同じ方を見上げてほほえみました。
イオイナ おお、嬉しいことの二つ。――私の胸がすがすがしく、白衣の囲りにかがよう陽炎のような光が一層晴やかなのも訳のないことではなかった。それから? 私は、人間の長い、真面目な、忍耐強い生活の話になると、此処に眠っている神々に負けない貪慾なききたがりやになるのです。
使者 男でも女でも、安閑としているものはありません。列を作って、地道な蟻のように、廃墟の地ならしにとりかかりました。それに(声を低め)この神々が、人間の精神まで殺し終おせたように云われたのはまるで事実とは違う間違いですね。学舎の壁は火で煤け、天井はやっと夜露を凌ぐばかりだが学者達は半片の紙、半こわれの検微鏡を奇蹟のように働かせて、真理へ一歩迫ろうとしています。
イオイナ そうだろう。――そうなければなりません。そして、私の忠実な僕の芸術家達は、巫女のような洞察で天と人類とのゆきさつを感じ、様々な形で生存の真髄を書きとめ刻みつけ彩って行くのです。