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しょうもんだいだいもんだい

小問題大問題

佐々木 邦

「現代」大日本雄辯會講談社、1927(昭和2)年6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,957 字 · 23 页

青空文庫

子孫は大抵昔よりも成り下っている。

さて、津島君はお祖父さんの教訓肝に銘じて、学校から社会へ出る早々、大問題の起るのを待ち始めたが、爾来十五年、未だ曽って、

「津島君、君は一つ重役になって見る気はないか?」

と勧めてくれるものがない。然う一足飛びは無理だから、課長でも宜いと思っているけれど、そのお鉢もナカ/\廻って来ない。有望がられる丈けに痺れを切らして、時々愚痴になる。その都度子爵病が頭を擡げる。

「四十にして惑わずというから、可なり期待していたが、一向駄目なものだね」

と津島君は落胆した。

「地位にさえ目鼻がつけば、三十五でも惑わない。要するに人生は待遇の問題だよ」

と同僚は更に明快な解釈を下していた。

「然うさ。世が世なら初めから惑わない」

「この頃は飲まなくても出るね」

「それ丈け切迫しているんだよ。子供がドン/\大きくなる。始終追い立てられるような心持だ」

と津島君は大問題の到来を待ち焦れていたが、年一年と平穏無事が続いた。

その中に長男が一高へ入った。親としては無論満足だった。同僚達も、

「君は上が男だから楽しみがある。僕のところは順々に呉れるんだから悲観する」