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しょうもんだいだいもんだい

小問題大問題

佐々木 邦

「現代」大日本雄辯會講談社、1927(昭和2)年6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,957 字 · 23 页

青空文庫

津島君は中学時代にそれを洩れ聞いて、未だ存命中のお祖父さんに当って見たことがある。すると老人も、

「今更仕方がないが、時々惜しかったと思うよ。合点首一つしてさえいれば俺も今頃は津島子爵さ」

と来て、立派な患者だった。

王政維新後津島君のお祖父さんは藩公から或使命を受けて、東奔西走、席の温まる暇もなかった。その中薩長の有力者間に顔馴染が出来て、廃藩置県になった時、

「津島氏、貴公は県令をやって見る気はないか? 今なら何うにでも計らう」

と材幹を認められた。

「やっても宜いが、今直ぐは困る。丁度藩公からのお召返しで一寸戻って来なければならん」

「藩公は後廻しにして、一つ承知して置け。廃藩になった上からは食うことを先に考えても申訳が立つ。貴公は年輩だから好いところへ振り向けてやろう」

「いや、有難いが、然う現金に君命を余所にする次第には参らん。出直して来てから、改めて頼む」

と律義な津島氏は直ぐに中国筋の城下を指して発足した。

藩公お召しの御用向は何でもないことだった。

「斯ういう時世になったからは今までの役目を解く。長々御苦労だったの」

との仰せ丈けだったから、こんなお沙汰なら書面で間に合ったものをと重役を恨むけれども、今更喧嘩にもならない。