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こむらたんさい

小村淡彩

宮本 百合子

「女性」1926(大正15)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,488 字 · 23 页

青空文庫

露骨で卑穢な冗談は、女房が席に現われると一層激しくなった。いしは、噪いで喋った。

「罪だわねお前さん、一度可愛がってやっとくれな、御覧よこの様子をさハハハハ見たとここそ、そりゃあ余り何じゃあないけれどねえ、ろくちゃん、却ってねえ、そうだろう?」

ろくは、矢張り、顔を皆の正面に向けたまま、

「ヘヘヘヘ」

と笑った。

「ヘヘヘヘだってさハッハハハハ」

どっと笑いこける。ろくも一緒になって笑った。それがまた堪らないと笑って、崩れるような騒動になった。

ろくが、嫁に世話してくれと頼むのは、内輪の者だけではなかった。彼女は、殆ど顔を見る人ごとに頼むらしかった。いしは、

「仕様がないねえ」

と云いながら、機嫌よく笑った。

「こうなると愛嬌だね――誰が本気で対手にするもんかよ」

ろくに、狭い村の道順が大抵分った頃であった。或る夕方、ずっと山よりの別荘へ焼魚を届ける用が出来た。せきは、座敷で衣を着た客の対手をしている。いしは、

「一寸、おろくどん」

と呼んだ。

「お前さん、気の毒だが山科さんのところまでこの岡持ちを届けて来てくれないかい。ほら、知ってるだろう? つい二三日前も、おせきと行った茅屋根の家」