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こばやしたきじのこんにちにおけるいぎ

小林多喜二の今日における意義

宮本 百合子

「小林多喜二全集月報」第二号、1949(昭和24)年2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,690 字 · 4 页

青空文庫

各団体から委員が出て、作家同盟からは、小林の死、その葬儀をとおしてほんとうに同志らしく行動した江口渙をはじめわたしをもふくむ数人の委員があげられた。刊行基金として、予約募集の仕事がはじめられた。その頃の金で全額五十円ぐらいであったろうか。予約募集は決して不成功ではなかったにかかわらず、刊行事務はちっとも進行しなかった。一九三三年と云えば、プロレタリア文化運動に集注破壊の向けられた年で、小林多喜二の虐殺は、ファシズム権力の兇猛さで、国内にも国外にも心からの憤怒をよびおこした。が、その一面プロレタリア文化団体は、小林多喜二の死によってうけた震撼と恐慌によって崩壊を早めつつあった。文学団体が機関誌さえも順調に刊行できず、団体解散の理由を、直接治安維持法の暴力によるものと明言し得ないで、指導者と指導理論の批判に藉口するために汲々としている雰囲気の中で、小林多喜二全集刊行がどうして実現しよう。客観的にも主観的にも全集刊行は不可能であった。十五年もの間、小林多喜二全集が刊行されなかったという事実は、その十五年間に、日本のすべての人民の運命が、どんなに無惨な天皇制ファシズムのくびきの下につながれていたかという証左である。