轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
こいずみやくもひこうがほん「ようましわ」
小泉八雲秘稿画本「妖魔詩話」
寺田 寅彦
「帝国大学新聞」1934(昭和9)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,659 字 · 6 页
十余年前に小泉八雲の小品集「心」を読んだことがある。その中で今日までいちばん深い印象の残っているのはこの書の付録として巻末に加えられた「三つの民謡」のうちの「小栗判官のバラード」であった。日本人の中の特殊な一群の民族によっていつからとも知れず謡い伝えられたこの物語には、それ自身にすでにどことなくエキゾティックな雰囲気がつきまとっているのであるが、それがこの一風変わった西欧詩人の筆に写し出されたのを読んでみると実に不思議な夢の国の幻像を呼び出す呪文ででもあるように思われて来る。物語の背景は現にわれわれの住むこの日本のようであるが、またどこかしら日本を遠く離れた、しかし日本とは切っても切れない深い因縁でつながれた未知の国土であるような気もする。そうかと思うとどこかまたイギリスのノーザンバーランドへんの偏僻な片田舎の森や沼の間に生まれた夢物語であるような気もするのである。
それからずっと後に同じ著者の「怪談」を読んだときもこれと全く同じような印象を受けたのであった。
今度小山書店から出版された「妖魔詩話」の紹介を頼まれて、さて何か書こうとするときに、第一に思い出すのはこの前述の不思議な印象である。