轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
こいわいのいっか
小祝の一家
宮本 百合子
「文芸」1934(昭和9)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,193 字 · 31 页
母親に対する思いやりから、勉はミツ子をとり戻すにしろ、そのまま送るにしろ入用な金策に心を悩ました。勉がプロレタリア運動に入るきっかけとなった詩は、金にならぬ。
そこへ、種油のシミがついた今度の手紙が来た。勉がかえって物も云わず机に向い腰かけるとすぐ、乙女が勉の古紺足袋をぶくぶくにはいた足で小走りに電燈の球のない台所へ入り、湯たんぽをつくってあてがっているのは、炭を買う金さえ彼の交通費にいるからのことである。――
長いこと黙っていた後、勉は中指に赤インクのついている手で親父からの手紙を縦に引裂きながら、
「いっそ、すっかり畳んで出て来いと云ってやろう」
大してふだんと変りない調子で云った。乙女はとっさにそれをどう判断していいのか痺れたように勉を見た。そのうち彼女の二重瞼の眼は我知らずつり上った二つの眉毛の下で次第次第に大きくなり、寒さで赤らんだ鼻のさきとともに、びっくりした野兎のような表情になった。
家財をたたんで、五人でここへやって来て、そして、どうして食うのであろうか。恐怖に近いものが幅ひろく彼女を圧しつけた。そんなことを考える勉も、親父にどこか似たところがあるのではないか。