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しょうせつのよみどころ

小説の読みどころ

宮本 百合子

「文学新聞」1933(昭和8)年6月16日号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,633 字 · 4 页

青空文庫

「党生活者」は、真にボルシェヴィクらしい前衛作家によって前衛の生活がこまかく書かれた初めての作品として記念すべきばかりでない。

軍需工場内で、労働強化に抗して起とうとする労働者を抑圧するために、天皇制権力はどんな計画的な手段で反動的勢力を大衆自身の中から育て上げようとしているか、という最も緊急な今日の問題を同志小林はとりあげて我々に示している。労農大衆が勝つためには、下からの統一戦線が何より大事であることを大衆は自分たちの経験によって知りはじめた。ストライキでも小作争議でも分散的にせず同一の全産業、全部落が共通の要求によって結集して闘う方が有利であるとわかった。その切り崩しを、天皇制権力は昨今夢中になってやっている。記録的な分裂メーデーが今年行われた所以だが、企業内の大衆を現在の情勢ではただ上から押えつけたのではもう通用しない。逆に闘争へ立たせるので、社会ファシストをつかって「左翼的」なかけ引きをさせ、大衆自身が内部的に統一されない気分を持つようにと悪辣な手段をつかっている。「党生活者」は敵階級のかような新手な戦術を暴露し、プロレタリアートの下からの統一戦線の重要性を示し、反動政策の新段階を暴露している。