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しょうじょじごく
少女地獄
夢野 久作
「少女地獄」黒白書房、1936(昭和11)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 105,174 字 · 206 页
万一妾がモトの通り前の左側のステップに立っていたらキット払い落されてぐたぐたにタタキ付けられたに違いないのよ。
妾ゾオッとしちゃったわ。ツヤ子さんの手紙を見られた事が、その時にハッキリとわかったのよ。わかり過ぎて髪の毛一本一本が逆立ちしたくらいだったわ。
そうしたら新高さんはまた、間もなく松崎の広い下り坂で、鉄砲玉のようなスピードになった時、向うから来た自転車を除けるふりをしいしいギューッと左に取って、車体の左側を、あぶなく松の樹にコスリ付けながら飛ばして行ったの。その時に妾はまたハッキリと新高さんが妾を殺そうとしている事を感じたのよ。
けれども、ちっとも手応えがない上に、妾がウンともスンとも言わないもんですから、新高さんは不思議に思ったらしいの。香椎の踏切の前に来ると運転台から、
「オーイ。トミちゃん」
と呼ぶじゃないの。
「ハアイ」
て妾、後部から出来るだけ朗らかな声で返事して遣ったら直ぐに、
「……馬鹿ア……前へ来ないかア……汽車を見てくれい。十時一分の上りが来る頃だあ」
て言い言いスピードを落したの。妾はモウ一度朗らかに、
「ハアイ」
って返事しいしい前の踏切に馳け出して、