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しょうじょじごく

少女地獄

夢野 久作

「少女地獄」黒白書房、1936(昭和11)年3月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 105,174 字 · 206 页

青空文庫

そのテイルのデッキに列車のライフ・ガードが引っかかって、逆トンボ返りにハネ飛ばされて、タイヤを上にして堤の下へ落ちていたって言う話よ。

新高さんは、厚い硝子の破片が脇腹の中へ刺さってモグリ込んだために、手当てが間に合わなかったんですって。列車の後部車掌の加古川さんて言う人が馳け付けて来て、背後から抱き起した時に、ウッスリ眼を開いて、息苦しい声で、

「シマッタ。ヤラレタ……ツヤ子の怨みだ……畜生……ツヤ子だ、ツヤ子だ、ツヤ子だ」

って言った切りコトキレたって言う話よ。その後部車掌の加古川さんがワザワザ妾を見舞いに来て話して下すったの。

そのお話を聞いた時に、妾は思わずニッコリ笑っちゃったわ。身体中の血がスウーと暖かくなって、今にもかけ出せそうな元気で一パイになってしまったわ。新高さんはツヤ子さんの仇敵を妾に取られた事をハッキリとわかって死んだんですからね。

そう思うと妾は、涙がアトカラアトカラ流れて困っちゃったわ。何も知らない加古川さんと看護婦さんが、スッカリ同情しちゃってね。いろいろ慰めて下すったんですけど何もなりゃしないわ。妾は神様に感謝して喜んで泣いているのに、悲しんではいけない、身体に障る障るって言うんですもの。