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しょうじょじごく
少女地獄
夢野 久作
「少女地獄」黒白書房、1936(昭和11)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 105,174 字 · 206 页
その責任は当然自分に在るのだからかように謹慎しているのだ。云々。
森栖校長失踪
消え失せた遺書と不可
思議な女文字の手紙
去る三月二十六日、県立高女校内に発生したミス黒焦事件以来、謹慎の意を表して三番町の下宿に引籠っていた名校長、森栖礼造氏は、新生徒入学式の前日なる昨一日夕方頃より突然に失踪した事が、校務打合せのため同下宿を訪問した同校女教諭虎間トラ子女史によって発見された。既報の如く森栖校長はミス黒焦事件以来痛く神経を悩ましていたものの如く三番町の下宿に引籠り、鬚蓬々として顔色憔悴していたが、事件発生後一週間目に当る去る三十一日夜、何処よりか一通の女文字の手紙が同氏宛配達されて以来、何故か精神に異状を来たしたものらしく、同下宿の女将渡部スミ子の許に来り、無言のまま涙を流して頻りに叩頭し、又は二階より往来へ向け放尿しつつ大笑するなど、些しも落着かず、夜半に大声を揚げて怒号し、彼奴だ。彼奴だ。黒焦は彼奴だ。火星だ火星だ。悪魔だ悪魔だ。などと取止めもなき事を口走り、女将スミ子を驚かした由で、その翌日の三月一日は疲労のためか終日臥床して一食も摂らず。