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しょうじょじごく
少女地獄
夢野 久作
「少女地獄」黒白書房、1936(昭和11)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 105,174 字 · 206 页
なお発狂せる森栖校長が大阪にて口走りたる甘川歌枝という女性は、同校の今年度卒業生にして、運動競技の名手であったが、かねてより「火星さん」という綽名あり。卒業後間もなく大阪の某新聞社に就職しおりたるものにて、森栖校長は発狂後、同女の行方を尋ねつつ同地方に行きたるものらしく、従ってミス黒焦事件と甘川歌枝とは、何等か密接の関係あるやも計り難く、目下当局に於ても慎重に調査中である。
森栖校長の帽子
十字架上に
持主不明の花簪と共に市内
天主教会にて発見さる
前廂に残る疑問の歯型
県立高等女学校は既報の如く、去る三月二十六日の怪火以来、ミス黒焦、校長の失踪、同発狂、虎間女教諭の縊死、川村書記の大金拐帯等の怪事件を連続的に惹起し、まだ怪火の正体さえ判明せざるうちに、同校と県、警察当局とを未曾有の昏迷の渦巻に巻込んでいるが、更に又、最近に前記森栖校長の信仰措かざりし天主教会内にて、意想外の怪事件を派生し、関係者一同を層、一層の昏迷に陥れている。今五日午前十時頃、市内海岸通二丁目四十一番地四角、天主教会にては日曜日の事とて、平常の如く信者の参集を待ち、祈祷会を開催すべく、礼拝堂正面の祭壇の扉を開きたるに、正面、祭壇の中央に安置されたる銀の十字架上に、見慣れぬ黒の山高帽と、赤き小米桜に