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しょうじょじごく

少女地獄

夢野 久作

「少女地獄」黒白書房、1936(昭和11)年3月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 105,174 字 · 206 页

青空文庫

に思います。

私の名前は、すぐに全校の生徒に知れ渡りました。

「ノッポの甘川歌枝ん坊――オ……

梯子をかけてエ――髪結うてエ」

と上級の男生徒が遠くから笑ったりしました。私は気の弱い児でしたから最初のうちは泣いて学校に行かないと申しましたが、そのうちにダンダン慣れて来て、どんなにヒドイ事を言われても淋しく笑って振り返る事が出来るようになりました。

私が一番モテたのは運動会の時でした。

私は二年生ぐらいの時から、六年の男子の中の一番早い生徒でも負かすくらい走れましたので「後世畏る可し」という標題と一緒に、私の写真が新聞に出たこともありますが、その真夏の太陽の下で撮られた私のシカメ顔がまた、あんまり可笑しいと言って、私の両親までが腹を抱えて笑いましたので、私は二、三日、鏡ばかり見てはコッソリ泣き泣き致しましたが、あの時の情なかった私の思い出を話しましても、どなたが同情して下さいましたでしょう。もう一度腹を抱えてお笑いになるばかりだったでしょう。

私はまだ物心付かないうちから、人に笑われるために生まれて来た、醜い、ノッポの私自身を知りつくさなければならなかったのでした。