轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しょうじょじごく
少女地獄
夢野 久作
「少女地獄」黒白書房、1936(昭和11)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 105,174 字 · 206 页
事だろうと気が付きますと、私の持前の気弱さからどうしても逆らってはいけないような気持になりながら、暗黒の中で両腕を握られたまま、固くなって俛首れておりました。
ああ……意気地のない私……私はあの時にチョットでも声を立てたりすると、世間の名高い校長先生の御名誉と地位の一切合財をすっかりめちゃめちゃにして終うであろう恐ろしさに包まれて、身動き一つ出来なくなっていたのでした。
……ああ……可哀そうな私……「お互いに淋しい心はわかっている」と仰言った校長先生のお言葉に私は、われにもあらず打たれてしまったのでした。どうしても逃れる事の出来ない運命に囚われてしまったような物悲しい気持になってしまったのでした。
……ああ……馬鹿な私……不覚な私。校長先生が評判の通りの聖人でない。ほかの女の方とここで会う約束をしておられた……その女の方と私とを間違えておられる事を、あの時にどうした訳かミジンも察し得ずにいたのでした。多分、私の心の奥底に残っておりました尊敬の心が、校長先生を疑う事を許さなかったのでしょう。
……ああ……浅墓な私……私は校長先生のお金に関する醜いお仕事の数々を知り過ぎるくらい、存じておりました。