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しょうじょじごく

少女地獄

夢野 久作

「少女地獄」黒白書房、1936(昭和11)年3月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 105,174 字 · 206 页

青空文庫

と即答をしましたが、その刹那に……サテハこの男が姫草ユリ子の黒幕だな。何かしら俺を脅迫しに来やがったんだな……と直感しましたので直ぐに……糞でも啖らえ……という覚悟を腹の中で決めてしまいました。しかし表面にはソンナ気振も見せないようにして、平凡な開業医らしいトボケ方をしておりました。……姫草ユリ子の行方を知っていないでよかった。知っていると言ったら直ぐに付け込まれて脅迫されるところであったろう……と腹の中で思いながら……。

相手の紳士はそうした私の顔を、その黒い、つめたい執念深い瞳付で十数秒間、凝視しておりましたが、やがてまた胴衣の内側から一つの白い封筒を探り出して、恭しく私の前に置きました。……御覧下さい……と言う風に薄笑いを含みながら……。

白い封筒の中味はありふれた便箋でしたが、文字は擬いもない姫草ユリ子のペン字で、処々汚なくにじんだり、奇妙に震えたりしているのが何となく無気味でした。

「白鷹先生

臼杵先生

妾は自殺いたします。お二人に御迷惑のかからないように、築地の婦人科病院、曼陀羅先生の病室で自殺いたします。子宮病で入院中にジフテリ性の心臓麻痺で死んだようにして処理して頂くよう曼陀羅先生にお願いして置きます。