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しょうじょじごく

少女地獄

夢野 久作

「少女地獄」黒白書房、1936(昭和11)年3月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 105,174 字 · 206 页

青空文庫

かれこれ五、六十人分はあるだろう。大会だけによく集まったものだ。

「ここでちょっとお待ちを願います。今お呼びして参りますから……」

といううちに給仕は右手の扉を押して会場に入った。トタンにジャズの音響が急に大きく高まって、会場の内部がチラリと見えたが、その盛況を見ると私はアット驚いた。

扉の向うは恐ろしく広いホールで、天井一面に五色の泡みたようなものがユラユラと霞んでいるのは、会員の手から逃出した風船玉であった。その下を渦巻く男女は皆タキシード、振袖、背広、舞踏服なんどの五色七彩で、女という女、男という男の背中からそれぞれに幾個かの風船玉が吊り上っている。その風船玉の波が、盛り上るような音楽のリズムに合わせて、不可思議な円型の虹のように、ゆるやかに躍り上り躍り上りホール一面に渦を巻いている。桃色と水色の明るい光線の中に……と思ううちに扉がピッタリと閉じられた。

扉が閉じられると間もなくレコードの音が止んだ。それに連れて舞踏のザワメキが中絶して、シインとなったと思う間もなく、タッタ今閉まった扉が向側から開かれて、赤白ダンダラの三角の紙帽を冠ったタキシードが五、六人ドヤドヤと雪崩れ込んで来て、私の眼の前の長椅子に重なり合って倒れかかった。