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しょうじょじごく
少女地獄
夢野 久作
「少女地獄」黒白書房、1936(昭和11)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 105,174 字 · 206 页
それが本年の五月の初めで、それから方々職を探しているうちに臼杵病院へ落ち着いたのでホッと一息した……と言う彼女の告白であった。
「……ですからこの間から白鷹先生が、どうしても臼杵先生にお会いにならない理由も、あたしにチャンとわかっておりましたわ。妾、きょう白鷹の奥さんにお眼にかかって、今までの気苦労を何もかもお話したのです。もしも臼杵先生と白鷹先生がスッカリ親友におなりになって、ソンナ事情がおわかりになった暁に、白鷹先生に気兼をなすった臼杵先生が、妾にお暇を下さるような事があったらどうしましょうってね……そうしたら奥様も涙をお流しになって、決して心配する事はない。これから先ドンナ事があっても臼杵先生の処を出てはなりません。そのうちに妾から臼杵先生によく頼んで上げますって言う、ありがたいお話でしたの……ですから妾、大喜びの大安心で横浜へ帰って来るには来たんですけど、きょう臼杵先生が白鷹先生にお会いになった時に、白鷹先生がドンナ態度をお執りになるか……如才ない方だから案外アッサリと御交際になるに違いないとは思うんですけど、またよく考えてみると、男の方ってものは、コンナ事にかけてはずいぶん思い切った卑怯な事をなさるものですから……まあ、御免遊ばせ。