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しょうねんれんめい

少年連盟

佐藤 紅緑

「少年倶楽部」1931(昭和6)年8月号~1932(昭和7)年6月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 110,920 字 · 219 页

青空文庫

「ドノバン、だいじょうぶか?」

富士男はころびながら友を案じていった。

「ああだいじょうぶだ。ゴルドン!」

「ここにいるよ、モコウは?」

モコウの声はない。

「おやッ、モコウは?」

富士男は立ちなおってさけんだ。

「モコウ! モコウ! モコウ!」

よべどさけべど、こたうるものは、狂瀾怒濤のみである。

「波にさらわれた!」

ゴルドンはふなばたから下を見おろしていった。

「なんにも見えない」

「救わなきゃならない、浮き袋と縄を投げこめよ」と富士男はいった、そうしてまたさけんだ。

「モコウ! モコウ!」

どこからとなくうなり声がきこえた。

「た、た、助けて!」

「おうモコウ!」

声はみよしのほうである、みよしは波にへりをくだかれてから、だれもゆくことができなくなった。

「みよしだ、ぼくはゆかなきゃならん」

富士男はいった。

「あぶないよ」

とドノバンがいった。

「あぶなくてもゆかなきゃならん」

モコウは富士男の家につかわれている小僧で、昔ふうにいえば、主従の関係である、だが富士男は、モコウをけっして奴隷的に見なしたことはない。かれは白皙人も黄色人も黒人も、人間はすべて同一の自由と権利をもち、おたがいにそれを尊敬せねばならぬと信じている。