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しょうねんれんめい
少年連盟
佐藤 紅緑
「少年倶楽部」1931(昭和6)年8月号~1932(昭和7)年6月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 110,920 字 · 219 页
世界の人種は平等である、人種によって待遇を別にしてはならぬ。これはかれが平素その父から教えられたところである。かれはモコウに対しても、いつも親友の愛情をそそいでいる。
友を救うためには、自己の危難をかえりみるべきでない、義侠の血をうけた富士男の意気は、りんぜんとして五体にみちた。かれは面もふらずまっすぐに、甲板の上をつたいつたい船首のほうへ走った。
「モコウ! モコウ!」
返事がない。
「モコウ! モコウ!」
声はしだいに涙をおびた。とかすかなうなり声がふたたびきこえた。
「モコウ!」
富士男は声をたよりに巻きろくろとみよしのあいだにあゆみよった。
「モコウ!」
一度きこえたうなり声はふたたびきこえなくなった。
「モコウ!」
声のかぎりさけびつづけてみよしへ進まんとした一せつな、かれはなにものかにつまずいて、あやうくふみとどまった。
「ううううう」
つまずかれたのは、モコウのからだであった。
「モコウ! どうした」
富士男は喜びのあまりだきついた。モコウは巨濤にうちたおされたひょうしに、帆綱にのどをしめられたのであった、かれはそれをはずそうともがくたびに、船の動揺につれて、綱がますますきつくひきしまるので、いまはまったく呼吸もたえだえになっていた。